テーマ別園内研修「集団」

あおぞら保育園 2017年度

集団づくりにとって何が大切か年齢ごとの子どもたちの姿を出し合って、どんな集団を目指すのかを考え、学びながら実践を深めていきました。

あおぞら保育園  浪内、古川、杉澤、澤田、吉岡


みんなで子育て〔0歳児〕

●今年入園してきた0歳児は第一子の家庭が多く、父母にとっても初めての保育園生活。

 

●春、新しい環境に不安で泣いていたAちゃん(9月生)。保育士の顔を確認しては大泣き。母乳で育っている為、哺乳瓶ではミルクが全く飲めず更に大泣き。ママと毎日連絡帳やお迎え時に話し合いながら乳首のサイズや種類を変えたり、膝の上に座ってスプーンで飲ませたり、飲ませ方を工夫していった。試行錯誤していくと合う乳首が見つかり、吸い方が分かったようで、グビグビと哺乳瓶で飲めるようになった。嬉しくて、お迎え時にママと握手をして喜び合った。

 

家庭訪問では歌や”いないいないばあ”が好きと分かり、すぐに実践。体をゆらゆら動かして笑顔で楽しむ姿も出てきた。お迎え時にその様子を見て「ばぁ!」と一緒に笑顔であやしてくれるBくんママ。Cくんママは誕生日表で顔と名前を確認しながら「Aちゃん、また明日ね!」と名前を呼んでくれた。

 

最初は、知らない人がいると泣いていたAちゃんが、ジッと顔を見るようになり、今では誰にでも笑顔で手を振るようになった。Aちゃんが友だちに手を振る様子を見て嬉しくなったパパも友だちの名前を一生懸命覚えて呼んでくれた。子どもたちもAちゃんのパパが来るとうれしそうに顔を見に行くようになった。またある日、転んだ子に「大丈夫か」と自分の子のように手を差し伸べてくれるパパの微笑ましい様子に、父母と一緒に子育てをしていることを改めて実感した。更に英語が得意なパパは、ドイツ人のDくんパパに英語で声を掛け行事の交流会に誘ってくれた。父母同士の繋がりを感じ、日増しにクラスの雰囲気が変わっていくのを実感した。

 

大人と関わる心地よさを土台に、外の世界へ向いていく0歳児。大人同士が繋がれば子どもも繋がる。子ども同士が繋がれば大人も繋がることが、子どもたちの安心感に繋がることを学んだ。

 

これからも、保育園が子どもを真ん中に父母、地域とつながり一緒に成長を喜び合える場となれるように『みんなで子育て!』を大事にしていきたい。

友だちっていいなあ〔0歳児〕

*今回の事例と写真は関係ありません。

●4月、親と離れての園生活が始まり、不安と緊張の子どもたち。抱っこしても体を反らしたり、泣いて全身で不安を訴えたり、その表し方も様々だった。保育園が安心して過ごせる場になるように不安な姿も丸ごと受け止めていった泣いて訴える快・不快を取り除きながら、生理的欲求を満たしていくと、段々と泣く理由が分かるようになってきた。

 

●泣かずに過ごせる時間が増えてきた頃、一対一で顔を見合わせて遊ぶ時間を大切にしていった。Hちゃん(7月生)と向かい合い、布で顔を隠して「いない、いない…ば!」と顔を出すとニコッ。「もういっかい」と期待しているような視線にもう一度やってみる。2回、3回…「ばあ!」と顔を出すたびに笑顔が大きくなっていった。何度も楽しむうちに保育士と一緒に「ば!」と口が開くようになり、そのやりとりを見ていた友だちも来て、数人で楽しむ事も増えていった。

 

●毎日どこかで「ば!」が聞こえるようになった。見つけてほしくて棚の陰に隠れたOちゃん(4月生)。「あれ、Oちゃんいないな」と言うと、待ってました!とばかりに「ば!」と顔を出した。すると、すぐに遠くからも「ば!」、声の方を見ると、ここだよ!と満面の笑みのPちゃん(7月生)と目が合った。

 


大人との関係ができてくると、大人を介しての友だちとの関わりも出てきた。散歩先でベンチに登り、背もたれから「ば!」と顔を出したNくん(6月生)。ちょうど下で伝え歩きをしていたPちゃん(8月生)がすぐに「ば!」と返した。「Pちゃんがいたね」と声を掛けると、Nくんは顔をくしゃとさせて笑った。次はPちゃんの「ば!」にNくんが応えていた。

 

大人や友だちの刺激を受け、やってみたい!という姿に0歳児の集団保育の大切さを感じた。大人との信頼関係を土台に友だちといるのが楽しいと思える関わりを大切にしていきたい。

楽しいが広がる!〔2歳児〕

●4月、朝夕の室内での自由遊びの時間自分から遊べず、ゴロゴロして、大人との1対1のスキンシップを好んでいたEくん(4月生)。日中の散歩では探索や虫探しを楽しめていたので、室内でも遊びを見つけられればもっと楽しめるのではと思い、Eくんの好きな遊びを探していった。

 

●6月、自分の人形を持って寝転んでいたEくんに保育士がブロックで家を作ると「ごはんでーす」とおしゃべりをしながらイメージを膨らませて、みたて遊びを楽しみ始めた。これだ!と思いそれから毎日のように保育士がブロックの家を作っていった。「なにつくってるの?」と聞きに来たり、家だとわかると「Eくんのおうちでしょ?」と人形を持ってきて待ち構えたり、楽しみにしている姿があった。

*文中の記事と写真は関係ありません


 

●ゴロゴロすることも減り、室内でもおままごとやつもり遊びを自分で見つけて楽しめるようになってきた。同じグループのFちゃん(6月生)と仲が良く人形でのつもり遊びのときはいつも一緒だった。他の子が来ると「だめ!やめて!」と嫌がる姿もあった。2人の遊びを大切にしながらも、他の友だちと遊びを共有できたらもっと楽しめるのではと思い、仲立ちをしていった。

 

●7月、ブロックの家で遊んでいるEくんとFちゃんを見て入りたそうにしていたGくん(3月生)。保育士も一緒に入り「お腹すいた、Fちゃんご飯作って」「Gくん、ご飯できたって、食べよう」と言うと「ねんねはこっちだよ」とEくんが教えていた。

 

●ある日、ブロックの家で「ここトイレ、ジャー」とGくん。「ちがう!こっち!」とEくん。「ここがトイレ、ここが寝るところね」と保育士がブロックを足すとみんなのつもりが一致!「かーわって」と順番にトイレを使って楽しんだ。また、同じブロックの家でHちゃん(12月生)は「おしごといってくるね」と出掛けていき、Iちゃん(2月生)は「これあかちゃんなの」と人形を寝かせてお母さんのつもり。それぞれが並行遊びで楽しんでいた。

 

●10月、2人で家を作れるようになってきた。人形を持ってEくん「おねつなんです」Fちゃん「はい、おくすりです」そこに他の場所で遊んでいたJちゃん (4月生)とKちゃん (4月生)が「このこもおねつなんです」とやって来た。Eくんは「これのんでください」と薬を渡し、遊びが広がっていた。

 

友だちを模倣したり、同じ遊びを楽しむ中で、一人ひとりが自分の「つもり」にこだわり、主張し合い、お互いの「つもり」を少しずつ分かり合うようになる。

 

「楽しいね」と喜び合うことが友だちとの関係を少しずつ広げていくと学んだ。一人ひとりの「つもり」を大事にしながら、子ども同士の関わりを広げていきたい。

仲間の力が合わさった!〔4歳児〕

●仲間をくぐって自分に気付く4歳児(ひまわり組)。仲間の中で喜び合い、励まし合い、ぶつかり合う中で「自分はひまわり組の一員なんだ」と感じ、自信を持つことを目標に、みんなが主人公になれる仲間関係を大切に保育していった。

 

●運動会で「仲間と一緒だからできた!という仲間と喜び合う達成感を感じ、仲間の中で自分の存在を感じてほしい」と考え、25人の力を合わせることが大切なパラバルーンを演技することにした。どんな技を取り入れるかをみんなで話し合うと「おまんじゅうやりたい!」「ボール飛ばしやりたい」とたくさんの意見がでた。

 

●練習では、友だちの動きが見えづらい事もあり動きがバラバラ。張り切って自分のペースで動いてしまう子や、技の途中で寝転ぶ子、パラバルーンを持っているだけで動かしていない子も。保育士のカウントに合わせれば大きく動くパラバルーン。しかしカウントをやめると次の技も分からない状態に。「自分たちの演技!」と言う意識が持てるようにパラバルーンの共同画を描いたり、遊びの中でもグループ対抗の転がしドッヂをしたりと仲間を意識した取り組みを増やしていった。

 

●運動会まで残り一週間。ボール飛ばしは全員の力と息が合えば、綺麗に飛び上がる一番の見せ所。しかし中々飛ばず「全然飛ばない」と残念がる子どもたちに「なんで飛ばないのかな?」と問いかけた。すると「みんなの力が合わさってないから」とIちゃん。「お休みのお友だちがいるから」とKくん。少しずつ仲間の力を感じてきているようだった。そこで自分たちの演技をビデオに撮ることにした。それを見て一人ひとりに気付いたことを発言してもらった。「メリーゴーランドの時引っ張ってなくて上手じゃない。」とIちゃん。「手離しちゃってしぼんじゃった」とLちゃん。「寝転んでるのへん」とMくん。自分の姿、仲間の姿を見て、自分たちの演技について考えられた。「どうしたらもっと素敵になると思う?」と聞くと「みんなで心を合わせたら良い!」とNちゃん。「そうだね!」とみんなで大賛成。「どうしたら心が合うかな?」と問いかけると、シーンとなり考える子どもたち。「みんなで声を合わせたら心がひとつになる?」とOちゃん。「それだ!」と再びみんなで大賛成!一人ひとりが考えたことでみんなが気付けた。

 

そして運動会3日前。グループ毎に染めたお揃いの腕輪を付けて「心と力を合わせよう」と確認し合い最後の練習。カウントの声もぴったり揃う。そして最後のポーズが決まると一斉に「できた‼」と大歓声。今までとは全く違う、力が合わさったことを感じ、子どもたちも担任も同じ気持ちで喜び合う事ができた。ここで感じた手応えがあったからこそ、運動会当日は、一人ひとりが自信を持って生き生きと、力を合わせて楽しく演技することができた。

 

仲間の中で手応えや自分の存在を感じることで自信をつけていく。仲間と感じた達成感。喜び合える仲間。それが集団の成長に繋がるのだと実感した。

リレーで広がる仲間との思い〔5歳児〕

●「仲間関係がさらに深まっていく5歳児。目標を持って仲間と一緒に頑張りぬく力や仲間と協力し合える力を育んでほしいと思い運動会でリレーを取り入れた。初めは散歩先でリレー遊びを楽しんだ。トラックやバトンを使わず目標の木を回り手でタッチ。勝ちたい!と思う子、ただ楽しく走っている子等様々。しかし、負けると悔し泣きをする子もいた。

 

●9月に入り、赤白チームに分けて競争することにした。作戦会議をすると話を聞いている子と、あまり聞いていない子がいる両チーム。その中でも赤チームは何となくみんな近くに集まっていて順番もスムーズに決まった。白チームはバラバラと離れていて「○番がいい」と自分の好きな数字を言っていた。

 

●白組のAちゃんは、紅組のBちゃんに追い付けず、バトンタッチする直前にスピードを緩めてしまった。白組のCくんは間違えてトラックから離れてしまった。結果は赤チームの勝利!白チームは悔し泣き。もう一度両チームに分かれて自分たちのリレーを振り返った。

*今回の事例と写真は関係ありません。

 


 

●赤チームは嬉しくハイタッチ!白チームは先ほどとは違い、みんなで集まって座っていた。白組のDくんが「速い人が初めと終わりを走った方がいいんじゃない?」と提案。「そうだね!」とみんなも頷いた。2回戦目は同着!両チームとも喜ぶ…と思ったら複雑な表情。勝敗にこだわる5歳児の姿を感じた。

 

●数日してまたリレーを行った。初めに両チームとも順番を考えた。しかしその中でも白チームは話しを聞かずきょろきょろとしている子が何人か…。そしてリレーがスタートすると白チームのGくんとEくんが自分の順番が分からず遅れてしまい赤チームの勝利。担任は白チームを集め「どうして負けちゃったかな?」と投げかけ見守ることにした。「順番が分かんなくなっちゃったから」とFちゃん。「どうして分からなくなっちゃった?」と尋ねるとIちゃんが「まっすぐ並べてなかった」2人の言うことに頷く子どもたち。今度からまっすぐ並ぼうと言った時に気がそれているGくんに気付いたFちゃんが「ちゃんと聞いて!」と言った。ハッと気付いたGくんだった。

 

また後日のリレーで作戦会議を行うと白チームは真剣に話し出した。まっすぐ並ぶことや前の作戦の先頭とアンカーに速い人が走る事を確認した。そして走るのが速いKくんやLちゃんが走り方をみんなに伝授した。この勝負は皆で作戦を守った白チームの勝利!!飛び跳ねて喜び合っていた。感想を聞くとGくんが「皆の応援で勇気でた」と、友だちとの関わりが深まっていくのを感じた。

 

●それ以降負ける度にさらに話しこむようになり、運動会当日まで様々な作戦を立て、時には友だち同士指摘し合いながら勝ったり負けたりを繰り返していた。    

 

仲間に目を向け、どうしたら良いのかを考え自分たちでクラス集団を作り上げていく5歳児の姿を実感した。

5歳児の集団は自分たちで気付き、思いを出し合い、ぶつかり合うことで形成されていく。悔しい経験があるからこそ本気になって仲間にも求める。そうして仲間のことまで考えられる集団になっていくのだと実感した。